
記者コラム「多事奏論」 編集委員・後藤洋平
「難題山積の会長職を受ける人がいるのか。なりたい人がいたら、募集したいぐらい」――。
NHKの次期会長人事を担当するNHK経営委員会の古賀信行委員長が、公の場でそう吐露したのは先月11日だった。その約1カ月後、来年1月に任期を終える稲葉延雄会長の後任として、井上樹彦(たつひこ)副会長の就任が決まった。
内部からの登用は18年ぶり。あの委員長発言を思い出すと、決して軽口だったのではなく、本当にいい候補が見当たらなかった末の窮余の一策なのかと、考えさせられてしまう。
2008年以降、大手企業の幹部を経て外部から登用された6人が1期3年でバトンをつないできたNHK会長職。この間の人々のテレビ離れとインターネットの台頭は大きな変化で、NHKは受信料支払率の低下、若者世代に公共放送の必要性をどう訴えるかといった深刻な課題に直面している。
会長の年収は大手企業のトップと比して高額とはいえず、仕事は国会対応にまで及ぶ。その任に当たった人たちは「早朝から想定問答を覚え、議員の挑発的な質問に丁寧、正確に答える。結構な精神的負担だ」とこぼしていた。
新体制で最も気がかりなのは、政治との距離だ。
井上氏「どこに有能な人材いるか知ってる」
放送法1条は「放送の不偏不…










