
俳句時評 岸本尚毅
朝刊歌壇俳壇面で月1回掲載している、俳人・岸本尚毅さんの「俳句時評」。今回は高浜虚子、復本一郎それぞれの正岡子規句集を取り上げます。
復本一郎選『新選 正岡子規句集』が刊行された。岩波文庫では一九四一年初版の高浜虚子選『子規句集』以来、八十五年ぶりの子規句集だ。
虚子は改造社版全集の一万八千余句から二三〇六句、復本は講談社版全集の二万三千余句から一五八三句を選んだ。子規の膨大な句を厳選した句集には選者の俳句観が自(おの)ずと投影される。
たとえば子規の代表句〈鷄頭(けいとう)の十四本もありぬべし〉を虚子は採らなかった。このことも含め、この句の評価は後に議論になった(いわゆる「鶏頭論争」)。
復本選も興味深い。たとえば〈…






