Smiley face

 大人になってから友達ができない……。そんな悩みを抱えたことはありますか? 今回は、友達ができない理由と対処法を考えます。

職場では話せるのに、休日はひとり

 20代の会社員ミナさん(架空の人物)は、職場ではごく普通に会話ができます。ランチにも誘われますし、雑談も苦にはなりません。けれど、ふと気づいたのです。この1年、プライベートで誰かと会う約束をしたことが、一度もありません。

 ミナ「仕事の人とは話せるのに、私、プライベートの友達って一人もいないかも……」

 学生時代には、研究室で一緒に実験や課題に追われた仲間が数人いました。当時は毎日のように顔を合わせ、それなりに親しくしていたはずです。

 ミナ「あのころは、放っておいても誰かと一緒にいたんだよね。今思えば、あれが当たり前じゃなかったんだ」

 けれど卒業してからは、就職や引っ越しをきっかけに、いつの間にか連絡を取らなくなっていました。休日の夜、なんとなく開いたSNSには、大学時代の友人たちが旅行やグルメを楽しんでいる投稿が並びます。

 ミナ「みんな、ちゃんと友達がいるんだな……。私だけ、置いていかれたのかな」

写真・図版
大人になってから友達ができない……=イラスト・中島美鈴

 ミナさんは、決して人付き合いが下手なわけでも、性格に問題があるわけでもありません。実は「友達ができない」という悩みには、いくつかのパターンがあり、そのどれもが本人の魅力の問題ではないことが多いのです。

「友達ができない」5つのタイプ

 大人になってからの「友達ができない」という悩みを整理してみると、大きく五つのタイプに分けられます。

 タイプ①:ライフスタイルが周りと違う人

 転勤族として引っ越しを繰り返している人。平日が休みの人。独身か、既婚か、子どもがいるかいないか――。こうした自分の属性が、周囲の人たちとなかなか合わないというケースです。休みの日も生活リズムも違うため、自然に会う機会そのものが減ってしまいます。

 タイプ②:連絡がまめじゃない人

 LINEやメッセージの返信が苦手で、悪気はなくても人間関係を維持できないタイプです。

 タイプ③:距離感がつかめず、自分から誘えない人

 親しくなりたい気持ちはあっても、相手との距離感がつかめず、遠慮が先に立ってしまい、自分から誘うことができないタイプです。

 タイプ④:人付き合いそのものが面倒な人

 一人でいることが、それなりに心地よいタイプです。孤独を感じることもありますが、それよりも人に気を使ったり予定を合わせたりするほうが面倒だと感じます。

 タイプ⑤:趣味や話題が周りと合わない人

 興味や話題が周囲と合わず、浅い会話に物足りなさを感じるタイプです。こうした人は、推し活仲間のように、同じ対象を熱心に応援する人たちとのつながりを好む傾向があります。

 ミナさんの場合は、①のライフスタイルの違いと、③の「距離感がつかめず誘えない」の両方が当てはまっていました。

タイプ別「友活」の方法

 友達が必ずしも必要というわけではありませんが、もし欲しい、こうしたことで悩みたくないという方には以下のような方法をお伝えしています。

 タイプ①ライフスタイルが周りと違う人の対策:同じスタイルの人と集い、少し歩み寄る

 ライフスタイルが周りと違う場合は、まず自分と近い状況の人が集まる場を探してみるのがおすすめです。同じ立場の人であれば、生活リズムの違いによるすれ違いが起きにくいからです。

 ただし、自分とぴったり同じ生活スタイルの人は、なかなか見つかりません。だからこそ、ある程度の歩み寄りも必要になります。休みを合わせてみる。本当はAの店に行きたいけれど、相手の都合に合わせてBで妥協する。そんな小さな譲り合いが、関係を続けていく力になります。

 タイプ②連絡がまめじゃない人の対策:連絡苦手キャラを分かってもらいつつ、少し歩み寄る

 連絡がまめでないタイプの人は、無理に「まめな人」になろうとしなくても大丈夫です。「人付き合いは苦手」「返信が遅いキャラ」だと相手に分かってもらいながら、それでも苦手なりに、スタンプ一つでも、短い一言でも返すようにする。この「苦手なりの歩み寄り」があるだけで、関係の続きやすさはずいぶん変わってきます。

 タイプ③距離感がつかめず、自分から誘えない人の対策:誘って断られても、関係を絶つ必要はない

 自分から誘えないタイプの人にお伝えしたいのは、「誘って、実質失うものはほとんどない」ということです。断られたからといって、その人との関係を絶つ必要はありません。多くの人は、傷つくことを恐れて自分から誘うことをやめ、受け身の姿勢のまま孤独に耐えていることがあります。けれど実際は、たまたまその日の都合が合わなかっただけかもしれませんし、もう少し落とした頻度で付き合いたいと思っている相手もいます。

 ミナ「誘って断られたら、もう終わりだと思ってた。でも、そういうことじゃないんだ」

 お互いにとってちょうどいい頻度の交差点を探すつもりで、少しずつ誘ってみるとよいでしょう。

 タイプ④人付き合いそのものが面倒な人の対策:一人を楽しむ方向に転換するのもあり

 人付き合いそのものが面倒だと感じるタイプの人は、無理に友達を増やそうとせず、一人の時間を楽しむ方向に転換してしまうのも一つの選択です。これは、中年期以降の人が持つ強みでもあります。体力的にも、若いころのように無理はできなくなっていくものです。一人で心地よく過ごせる力は、決して欠点ではありません。

 タイプ⑤趣味や話題が周りと合わない人の対策:同じ熱量の人と、思う存分好きな話をする

 趣味や話題が周りと合わないタイプの人には、推し活仲間のように、自分と同じ熱量で同じ分野を好きな人たちと集まってみることをおすすめします。浅く広い雑談ではなく、好きな分野の話を思う存分できる時間は、それだけで大きな満足感につながります。

大人の友達づくりが難しい、本当の理由

 ここまで見てきたように、「友達ができない」という悩みには、性格の欠陥ではなく、いくつかのタイプがあります。

 人間関係を続けていくには、労力(気力・体力・時間・お金)がかかります。そして大人はたいてい、すでにある程度フルの人間関係を抱えていて、そこに新しい人を迎え入れる余裕がない場合がほとんどです。

 だからこそ、大人になってからその限られた枠の中に新しい誰かを迎え入れることは、よほどのことがない限り起こりません。これこそが、大人の「友達のできにくさ」の本質なのではないかと思います。

 だからこそ人は、「この人はどんな人だろう」と少しずつ様子を見て、時間をかけて相手を知っていきます。物理的にも、少しずつしか相手に時間を割けない中で、その関係を続けるかどうかを、お互いに見極めていくのです。

 大人になってからの友達づくりがうまくいったケースを見てみると、「趣味が同じだった」「一緒にいて気疲れしなかった」「生活スタイルが似ていた」「近所に住んでいて物理的に会いやすかった」といった条件が重なっていることが多いようです。

 つまり、「いい人だから」「魅力があるから」というだけでは、大人になってから仲良くなるのは難しい、ということです。それだけで自然と仲良しになれるのは、もう少し若い時期に限られた話なのかもしれません。

 ですから、もしあなたが新しく友達をつくろうとしてうまくいかなかったとしても、「相手はすでにフルの人間関係を抱えていて、入る隙間がなかったんだな」「属性やライフスタイルが今は合わなかったんだな」というふうに、状況を分析することはあっても、「自分に魅力がないからだ」と自分を責める必要は、まったくありません。

 ミナさんも、まずは同じ社会人向けの読書会に顔を出してみることから始めてみました。すぐに親友ができたわけではありませんが、少しずつ顔なじみが増えてきています。

 ミナ「無理に友達を作ろうとするより、自分に合う場所を探すことのほうが大事なのかもしれない」

 友達ができないことに悩んでいるなら、まずは自分がどのタイプに近いのかを考えてみてください。そこから、あなたに合った一歩が見えてくるはずです。

    ◇

 このコラムでご紹介した人間関係についてもっと知りたい方は、「『愛着スタイル』と『心のクセ』に気づけば恋も人間関係もうまく回りだす」中島美鈴著・あらいぴろよ絵(主婦の友社、2026)もどうぞ。

<臨床心理士・中島美鈴>

 1978年生まれ、福岡在住の臨床心理士。専門は認知行動療法。肥前精神医療センター、東京大学大学院総合文化研究科、福岡大学人文学部、福岡県職員相談室などを経て、現在は九州大学大学院人間環境学府にて成人ADHDの集団認知行動療法の研究に携わる。

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