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 2年ぶりの全日本吹奏楽コンクール出場を決めた春日部共栄高校吹奏楽部。西関東代表の座をつかんだ喜びもつかの間、部員たちは次の演奏会や、中学生向けの部活体験の準備に動き出した。

 毎年秋に地元で「オータムコンサート」を開いているが、今年はそこに、富山への演奏旅行が加わった。富山県のホールから「ぜひ魚津市のホールで演奏してほしい」という依頼が来たのだ。

 春日部共栄は、一つ一つの曲にじっくり時間をかけ、緻密(ちみつ)でかつ表現豊かな音楽を作り上げるスタイルだ。マーチングや、演出をつけてポップス曲を演奏する、ということもほとんどない。

 でも、人前で演奏する機会を増やし、部員たちが触れる音楽の幅を広げたい、という思いは、顧問の織戸祥子さん(38)にあった。

 富山県ゆかりの作曲家の作品などでプログラムを組み、9月下旬、今年の部員たちは初となる演奏旅行に出かけた。

 金管コンサートマスターでトロンボーンの池田優さん(3年)は「短い時間で、クオリティーが高い演奏のための準備が求められる。例年にない経験で、そういう力が身についた」と話す。

ソリストとしても、舞台に立つ

 10月10日のオータムコンサートでは、3年生に新たな「ミッション」が課せられた。

 テナーサックスの鈴木彩心(あやね)さん(3年)は、富山で演奏する曲の合奏が終わった後、織戸さんから声をかけられた。「『パントマイム』を、ユーフォと吹いてみない?」

 スパーク作曲の「パントマイム」は、ユーフォニアムソロの名曲。小学生のころにユーフォニアムだった鈴木さんは「いつかは演奏できたら」と、同じ音域のテナーサックスでひそかに練習していた。

 ユーフォニアムの西川友喜さん(3年)が「引退するまでに吹けるようになりたい」と、5月ごろから個人練習をしていたことも知っていた。

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春日部共栄高校吹奏楽部の「オータムコンサート」でソロ曲を演奏するユーフォニアムの西川友喜さん(左)とテナーサックスの鈴木彩心さん=2026年10月2日、埼玉県春日部市、河原田慎一撮影

 織戸さんは、3年生たちが「あこがれの曲」を練習する姿を、目にしていた。コンクールで演奏する「ラ・メール」にはソロは少ないが、頑張ってきた3年生に、ソロの舞台も経験してほしい――。そんな思いもあって、オータムコンサートでは3年生4人が吹奏楽をバックにソロ曲3曲を演奏するステージをつくることにした。

 アルトサックスの山本歩実さん(3年)は、小学生の頃に春日部共栄の定期演奏会で聴いた「シーガル」(真島俊夫作曲)のアルトサックスソロに憧れていた。「いつか親の前で吹けたら」と練習していたが、オータムで披露することになった。

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春日部共栄高校吹奏楽部の「オータムコンサート」でアルトサックスのソロ曲を演奏する山本歩実さん=2026年10月2日、埼玉県春日部市、河原田慎一撮影

 「びっくりしたし、1人で吹くことがあまりなく苦手で不安だったけど、『シーガルやる?』と先生に言われて『やります!』と答えました」と目を輝かせた。

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春日部共栄高校吹奏楽部の「オータムコンサート」で演奏するトロンボーンのソロ曲を奏でる池田優さん(中央)=2026年10月2日午後6時53分、埼玉県春日部市、河原田慎一撮影

 池田さんはトロンボーン協奏曲の名曲「コンチェルティーノ」(ダビット作曲)を演奏する。3年生にとっては最後の舞台となるコンクールに向け、ソロステージは新たな挑戦への意識にもつながっている。

 鈴木さんは「ソロを吹くための表現力やうたい方が、コンクール曲でも聴く人に感動を届ける上で役に立つと思う」。池田さんは「3年生の団結力が上がって、音楽に向き合うという『自分たちらしさ』が出せて結果もついてきた。全国大会でも、曲に向き合うことでどうやったら一番いい形で聴いてもらえるのかを考え、自分たちも満足できる演奏がしたい」と語った。

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