今年5月、北海道大と東京大、京都大、さらに三つの学術団体に一通の文書が送られた。A4一枚につづられた文言の最後は、こんな言葉で締められている。
「多くの日本人が私たちアイヌを対等な人として捉えることができたのなら、そのとき、日本人はアイヌ・ネノ・アン・アイヌ(人間らしい人間)になれるであろう。そしてそのときはアイヌが解放されるときであるとともに日本人が解放されるときであろう」
1980年代、自身の写真を無断掲載されたアイヌ民族のチカップ美恵子(故人)が起こした「アイヌ肖像権訴訟」で、彼女自身が法廷で述べた言葉の引用だ。

文書は「アイヌネノアンアイヌの会」代表の木村二三夫(77)から出された。アイヌ民族の遺骨問題の真相究明をめざす「真実委員会」への参加を促すものだ。
真実委員会は、過去にあった人権侵害に対して、社会として公式に真実を確認し、再発防止や制度改革の提言をする組織をいう。
今回は、証言や記録、遺骨を持ち出した研究者自身が残した論文などから、不正義を明らかにし、尊厳の回復や社会全体での事実共有につなげることが狙いだ。
先祖の墓を荒らし、遺骨を持…
