9月28日午後、北京の人民大会堂。中国の外交トップを務める王毅(ワンイー)共産党政治局員兼外相と、日本国際貿易促進協会(国貿促)会長として訪中した岩屋毅前外相が向き合った。朝日新聞は日本政府内にも共有された会談記録を入手した。そこには中国側の高市早苗首相への不信感と、険悪化した関係の改善に向けた「糸口」が記されていた。
「我々はあの発言をうっかりした失言だとはみていない。高市首相が長年にわたって持ち続けている歴史観があらわれたものだ」
- 【そもそも解説】「台湾有事」と「存立危機事態」 冷静な議論が必要

王氏は対中強硬派とされてきた高市氏への根強い不信感をあらわにした。
「あの発言」とは、2025年11月7日に台湾有事をめぐって、高市氏が「戦艦を使って、武力の行使も伴うものであれば、どう考えても(集団的自衛権を行使できる)存立危機事態になりうるケースだと私は考える」と言及した国会答弁だ。
高市早苗首相の台湾有事をめぐる国会答弁から1年。悪化した日中関係は改善の糸口が見えていません。11月の国際会議で日中首脳の接触はあるのでしょうか。水面下の駆け引きを検証し、日中関係の現在地を探ります。
高市政権は発言後、存立危機事態について、「個別具体的な状況に即して、政府が持ち得る全ての情報を総合して客観的かつ合理的に判断する」という政府見解を「完全に維持」する答弁書を閣議決定し、幕引きをはかった。
岩屋氏も「日本の方針が変わったものではない」と訴えた。だが、王氏は、高市氏が答弁を「撤回」する必要があると繰り返した。

カギは「四つの政治文書」
岩屋氏は、「一国の首相が発言したことを撤回するのは政治的に非常にハードルが高い」と主張。そのうえで、解決策として「四つの政治文書」を持ち出した。
四つの政治文書とは、197…
