Smiley face

連載「窓」

 首都圏に住む女性(55)は、夫(56)が「推し」を見つけた日をよく覚えている。

 7年ほど前のことだ。夫が息子2人と見ていたテレビの歌番組に、長男が好きな女性アイドルグループ「日向坂46」が出ていた。

 後方で踊る一人が、夫の目にとまった。少ししか映らなかったが、目立たない場所でにこやかに踊る姿に「なんだかグッときた」という。

 それが、松田好花(このか)さんだった。

写真・図版
女性の夫が集めた推し活のグッズ=女性提供

初めて夢中になった夫

 夫は、あっという間にはまっていった。スマートフォン用のイヤホンを買い、曲の聴き方を覚え、ファンクラブに入って出演番組や動画をチェックするようになった。

 夫が特定の歌手やアイドルに夢中になったのは初めてのことだった。仕事や家族との時間以外のほとんどを、推し活に費やしていた。

 会ったこともない20代の彼女を「このちゃん」と呼んだ。髪形やメイクが変わるとすぐに気付いて「かわいい」とほめた。

 「私が髪を切っても、気付きもしないのに」。最初は面白くなかった。

疲弊する夫、「踏切に…」と心配に

 推し活にはまり始めたころ…

Share.