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特別講義で話す井上保孝さん(左)と郁美さん夫妻=2026年5月14日、高知市の高知大学、矢代正晶撮影

 1999年に東名高速で起きた飲酒運転追突事故で娘2人を失い、危険運転致死傷罪の法律制定に尽力した井上保孝さん(76)と郁美さん(57)夫妻が14日、高知大で特別講義を行った。「遺族は喪失感や絶望感、心の傷をずっと抱えている。飲酒運転は悪質な犯罪だと肝に銘じてほしい」と訴えた。

 99年11月、井上さん一家4人が乗っていた車が東名高速で飲酒運転の大型トラックに追突されて炎上。長女の奏子(かなこ)ちゃん(当時3)と次女の周子(ちかこ)ちゃん(同1)が犠牲になった。事故後、悪質な危険運転の厳罰化を求めて署名活動を行い、危険運転致死傷罪の創設につながった。

 今回の講義は、アルコール依存症の問題に取り組んでいる同大理工学部の島内理恵教授が「アルコール学概論」の授業として企画。学生や教職員、県内の断酒会関係者ら約180人が受講した。

 保孝さんは「泥酔していた運転手への判決は懲役4年(高裁で確定)。あまりに軽く、疑問を感じて活動を始めた」と当時を振り返り、「今も飲酒運転で命を奪われる被害者遺族が出てしまうことが本当につらい」と心情を語った。

 夫妻は仕事のため現在ベトナム在住だが、「飲酒・ひき逃げ事犯に厳罰を求める遺族・関係者全国連絡協議会」「高速暴走・危険運転被害者の会」のメンバーとして、全国の交通事故遺族と連携して活動を続けている。

 高知県内では2024年、高知東部自動車道で、対向車線の車に衝突して1歳男児を死亡させる事故が発生。運転手は運転中にサンダルに履き替えようとして急ハンドルを切ったとされ、自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致死傷)の罪で公判中だ。夫妻はこの遺族の記者会見に同席するなどして支えている。郁美さんは「非常に悪質な『ながら運転』事故。もっと警鐘を鳴らさなければいけない」と話した。

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