Smiley face
写真・図版
大谷グランド・センターとして再生される前の建物=宇都宮市大谷町、bonvoyage提供

 宇都宮市で採掘され、建材などに使われる大谷石(おおやいし)。その採石場の跡地で40年間、廃虚となっていたかつての行楽施設がアートと食の空間としてよみがえり、5日にグランドオープンした。「地区ににぎわいを取り戻したい」というオーナーの壮大な思いがこもった施設をオープン日に訪れた。

 道路から見上げる緑に囲まれた岩壁。その岩肌に抱かれるように、施設は建つ。名称は「大谷グランド・センター」。1階はアートスペース、2階は栃木県出身の2人のシェフが監修するメニューを提供するレストランとカフェとなっている。岩肌に面した窓からは採石時が想像できる切り出し面が、レストランのテラスや屋上からは森に囲まれた採石跡地や大谷の町並みが一望できる。

写真・図版
オープンした大谷グランド・センターのカフェスペース。窓からは大谷石の採石場跡の全景や切り出し面が望める=2026年1月5日午後0時8分、宇都宮市大谷町、重政紀元撮影

 大谷石は旧帝国ホテルの建材に使われるなど、その採掘は明治から昭和中期にかけて県を代表する産業だった。地区には旅館や料亭が集まり、「近代日本経済の父」と呼ばれる実業家の渋沢栄一や皇太子時代の大正天皇が訪れたという記録も残る。

 だが、採石量の減少とともに旅館などは縮小。当時をしのばせる建物は残っているが、人口、来訪者ともに減り、最盛期のにぎわいにはほど遠いのが現状だ。

 今回よみがえった施設も、もとは「山本園大谷グランドセンター」という行楽施設だった。昭和40年代に大浴場のあるドライブインとして採石場跡地にできたが、1985年ごろに廃業。その後は荒れ果て、国内を代表する廃虚として肝試しなどをする不法侵入者が後を絶たなかったという。

写真・図版
大谷グランド・センターは大谷石の採石場をそのまま生かした立地にある=2025年12月5日午後1時49分、宇都宮市大谷町、重政紀元撮影

魅力に引き込まれたきっかけは社員旅行

 そんな建物を再生させたのが…

Share.