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インタビューに答える大谷徹さん=岩手県奥州市、金居達朗撮影

王国の頂点、その故郷では

 4月29日の祝日、岩手県奥州市はあいにくの雨模様だった。

 「あーあ、もっと練習したかったな」

 中学生の硬式野球チーム「奥州リトルシニア」にこの春入ったばかりの1年生は、物足りなさをにじませながら帰り支度を始めた。

 ぬかるんだグラウンドを諦め、チームはこの日、廃校になった小学校の体育館で練習した。手狭なため、1年生は午前、2、3年生は午後と、計43人が2班に分かれての活動となった。

Aストーリーズ「王国の礎」 未来へつなぐ野球への思い

野球の国ニッポンを支えるのは、甲子園に出場してプロになるような一握りの選手たちだけではありません。親から子へ、先輩から後輩へ。野球をつなぐ人々の思いに迫ります。

 監督やコーチにとっては、つかの間の昼休み。監督の大谷徹さん(64)は弁当を食べながら、スマホで大リーグ・ドジャースの試合中継を見てつぶやいた。

 「うーん、きょうはあんまり調子が良くないかな」

 画面越しのマウンドで、次男が投げていた。

 弁当を食べ終わる頃には、2、3年生が続々と体育館に現れた。スマホをしまい、徹さんもまた、彼らの打撃練習の相手として黙々とボールを投げ続けた。

 大谷翔平の父・徹さんがチームを立ち上げたのは2014年。息子がプロ野球・日本ハムに入って2年目の春だった。

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練習にのぞむ奥州リトルシニアの選手たち=岩手県奥州市、金居達朗撮影

 大きな理由の一つは、野球への恩返しだという。

 「野球に感謝するというか、お世話になった部分がすごく多くて」。自身は社会人まで野球を続け、「ひとりの人間として成長させてもらった」。

 多くの人との出会いもあった。長男の龍太さんも野球に打ち込み、今は社会人チームの監督をしている。次男・翔平の活躍は説明するまでもないだろう。

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中学生たちの練習で打撃投手を務める大谷徹さん=岩手県奥州市、金居達朗撮影

チームの指導方針は

 「野球が人生の一部ではあったので。少しでも地域の子どもたちの力になれればいいのかな、と。それくらいしか僕にはできないから」

 チームの指導方針には、こんな言葉が並ぶ。

 ・礼儀、あいさつを人として…

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