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レッツ・スタディー!番外編 安部若菜さん新刊&卒業発表①

 アイドルグループ「NMB48」メンバーで小説家でもある安部若菜さん(24)が「アイドル失格」(2022年)、「私の居場所はここじゃない」(24年)に続く3作目の小説「描いた未来に君はいない」(KADOKAWA、3月2日発売)を著した。現役アイドルや、芸能スクールに通う若者たちの姿を通じて青春の痛みや光を描いた前2作とは異なり、今作は「芸能」とは離れた世界に舞台を設定。本の発売から10日あまり過ぎた3月13日には安部さんがNMB48からの卒業を発表し、「青春には終わりが来る」という作品のテーマとも重なり合う展開が話題を呼んだ。

 安部さんが作品に込めた思いとは。前後編にわたってインタビューをお届けする。

  • 【後編】時間をかけて心にじわじわと… 安部若菜は「小説のような」アイドル

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第3作小説のテーマは「青春には終わりが来る」

 ――小説3作目の発刊と卒業発表が時期的に重なりました。

 安部さん 実は時期が近くなったのは偶然なんです。16歳でNMB48に入って8年。「卒業」という言葉自体はかなり前から頭の片隅にはありました。ただ、そのつど引き留めてくれる先輩やマネジャーさんがいたり、アイドルとして達成したい目標が残っていたり、尊敬する先輩の卒業を見届けたい思いもあったり。

 そうするうちに気づけばNMB48の中でも一番の先輩世代になりました。本格的に小説執筆に取り組んでいきたい思いも強まり、自然と「ここがタイミングだな」と思えた感じです。気持ちが固まったのは昨年の秋ごろだったかなと思います。

 ――「描いた未来に……」のあらすじを紹介してください。

 安部さん メインの登場人物は、本好きの高校3年生・鳴海大和。そして「握手をしたら人の心が読める」という不思議な力をもつ転校生の南奈海です。ちょっとさえない雰囲気の大和は、天真らんまんな性格の奈海に振り回されつつも、「小説を書く」ことを通じて仲を深めていく――。そんなストーリーです。

 二人が少しずつ親しさを増していく中で、奈海から「20歳まで生きられない」と打ち明けられた大和はあることを決意します。

 みんなと「小説を作る」ことを通じて心を通わせる青春のまぶしさと、同時にその終わりが見えているという苦しさ。

 図書委員の船田政宗や学級委員の夏木果帆といったクラスメートをはじめ、大和や奈海の家族など物語を彩る様々な登場人物にも注目してもらえたらと思います。

 ――小説の中の奈海には「誰かの記憶に残りたい」「(大和の書く)小説の中で生き続けたい」という思いが感じられます。

 安部さん アイドルとしての私は「センター(中央)で歌える楽曲をもらう」ことを目標に挙げていました。センター位置はやはりアイドルとして永遠のあこがれの場所ですし、それを実現させるまでは卒業しないつもりでした。

 ですが最近は、それより「自分がNMB48にいた意味を残したい」と思ったり、口にしたりすることが増えていました。アイドル人生の終わり(卒業)を具体的に意識するようになったことが関係していたのかもしれません。

 でも、そんな私の思いが奈海の心情にもどこか通じる部分があるな、と感じたのは全て書き終えてからでした。今回は連載小説だったこともあり、1話ごとの山場づくりや締めくくり方を考えることで頭がいっぱいだったので。

「わかぽんのおかげで本を読むように…」がうれしかった

 ――卒業発表後、新刊のお渡し会などで多くのファンの人たちと言葉を交わしたと思います。どんな会話をしましたか。

 安部さん 「全然、予想してなかった」「もっと(NMB48に)いてくれると思ってた」など卒業を惜しんでくれる人が想像していたよりもはるかに多く、8年間頑張ってきてよかったなと思いました。「アイドルになってくれてありがとう」と言われたときはじーんときました。

 印象に残っているのは「わかぽんが小説を出してくれたから、本が苦手だったけど読むようになった」という言葉です。誰かが本を読む習慣を得た。そのきっかけが自分の本だった。本好きとしてこれ以上うれしいことはないです。

 ――読書の習慣は一生のものですもんね。

 安部さん はい。本を好きになるということは、一生の友を得るようなものだと思います。

 私は「読書は現実逃避の場所でいい」と思っていて。ファンタジーを描いた本を読んで「この世界に入り込みたいな」と思うのもいいし、ミステリー作品で先行きのみえない筋書きにハラハラするのもいい。

 「読書=高尚な行為」と難しく考えず、まずはつらいことがあったときや一人の世界に閉じこもりたいときの避難所でいい。人生に読書という選択肢があるかないかは大きな違いになると思うので。

【プロフィル】安部若菜さん

写真・図版
安部若菜さん 撮影・中林香

 あべ・わかな 2001年、大阪府生まれ。18年にNMB48に加入。小説執筆のほか、落語、投資、ゲームと趣味や特技が幅広い。小説家としての著書に「アイドル失格」「私の居場所はここじゃない」がある。初めての小説となった「アイドル失格」はドラマ化や漫画化もされている。

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