冬眠明けのクマにとって春の山菜(イラクサ)は体力を回復する餌となる=長野県松本市、環境省提供(調査のため望遠レンズで撮影)

 近年、クマによる人身事故が大幅に増えています。環境省によると、2025年度の全国の被害者は238人、死者13人にのぼり、過去最多だった23年度の219人、6人を上回りました。日本には、北海道にヒグマ、本州と四国にツキノワグマが生息しています。登山や山歩きを楽しむ際、クマに出合う可能性があります。クマの被害を避けるには、どんな方法や対策があるのでしょうか。

(この記事は2026年9月7日に朝日新聞信州版に掲載されたものです)

何が起きているのか

 被害が深刻なのは、東北地方ですが、新潟県が17人(死者0人)、長野県が16人(同1人)と両県も上位を占めています。

 6月下旬、新潟県妙高市で、急増するクマの出没・人身被害を受け、最新の生態知識と対策を考える講演会が開かれました。基調講演では、クマ研究の第一人者で、東京農工大大学院の小池伸介教授(47)が「現在(いま)を生きるツキノワグマの生態」をテーマに、クマの生態や被害が拡大する原因などを話しました。

夏場はクマの餌となる柔らかい山菜などがなくなり、やせ細る。河原に出て石をひっくり返してアリを探して食べる=長野県松本市、環境省提供(調査のため望遠レンズで撮影)

 小池教授は、25年近く群馬県や栃木県、東京都でツキノワグマの生態研究を続けています。講演会の冒頭で「一昨年秋からクマによる事故が急増しています。しかし、多くの人は何が起きているのかわからず、不安を感じていると思います」と問題提起しました。

生息域はなぜ広がる?

 昨年度のクマの被害は地域差…

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