
宮城県立多賀城高校の災害科学科は全国でも二つしかない、東北唯一の高校の防災系専門学科。開設から10年が過ぎ、生徒たちは東日本大震災を知らない世代になった。「知らないからこそ、知りたい」。そんな学びの欲求に応える「災害教育」の現場を見た。
ある日の授業では…
大地震で倒壊した建物のがれきの下に、人が取り残された。救出するためには、がれきを持ち上げなければならない。さて、どのくらいの力が必要だろうか。
3月19日、県立多賀城高校災害科学科の教室で、そんな問いを考えるところから始まる授業があった。1年生の科目「自然科学と災害B」だ。
佐藤寿正教諭(49)が持ち出したのは、小さな力で重いものを動かせる「てこの原理」。この知識を身に付けていれば、少ない力でもがれきを持ち上げることが可能だと説明した。
授業では矢印を使った「力の表し方」や、運動を止めようとする「摩擦力」についても解説。生徒たちも時に手を挙げながら、物理について理解を深めていった。
災害科学科は、授業で災害を科学的な現象として理解するとともに、2011年の東日本大震災だけでなく、08年の岩手・宮城内陸地震など様々な災害の実例を知るカリキュラムを組んでいる。多賀城高校で12年間勤務した佐藤さんは「授業と被災地訪問が相互に生徒の学びを深めるために作用している」と言う。
佐藤さんはこの春、県教育委員会の学校防災の担当に異動した。「身近な切り口から、災害を現象として考えてもらうことが必要」と語る。「科学の基礎を理解することが、防災にもつながる」
教えることに「不安もあった」
多賀城高校災害科学科ができ…








