
(26日、第79回春季四国地区高校野球大会準決勝 高知商10―9高松商 徳島・むつみスタジアム)
「なんとかコールド負けの回避だけはしたかった」
勝った高知商(高知1位)の岡村英人監督は試合後、興奮気味に振り返った。
六回表を終えて、スコアボードの表示は0―8。高松商(香川1位)に、この時点で11安打を浴びていた。8点目は投手のボークで許した。流れから完全に見放されていた。
ところが、チームは猛烈な追い上げを見せていく。
六回裏。1死走者なしから、相手守備の乱れを足がかりに、3連続四球でまず1点をかえした。「絶対、長打を狙って、がっつくな」。ベンチからの声が飛ぶ。その後の4連打もあり、この回一挙に7得点。すべて単打だった。
その後、相手に1点を許した。
八回表を終えて、7―9。
八回裏、高知商の攻撃。2死から連打でチャンスをつくると、5番・北添颯志(3年)は粘りに粘る。際どい球はファウルでかわして、13球を投げさせた末、四球を選んだ。

「自分でワンヒットっていうよりも、つないで後ろのバッターが返してくれたらいいかなっていう思いだった」と北添。
2死満塁。途中出場の大原由聖(3年)が打席に立った。前の打席は、中途半端なスイングで三振。しかし、この打席では心に期するものがあった。
「北添の粘りに感じるものがあった。あのおかげで力まずバットに当てられたと思う」
北添とは、中学時代にバッテリーを組んでいた仲だ。13球の粘りを見て、奮い立った。引っ張らず、右打ちに徹する。打球は走者一掃の適時三塁打となった。

北添と大原。2人の頭には、一つの試合があった。この春の選抜大会、準々決勝の智弁学園(奈良)―花咲徳栄(埼玉)だ。
智弁学園は、二回表を終えて0―8とリードを許したが、あきらめず12点を奪って勝利。選抜大会としては史上最大となる8点差をひっくり返す大逆転劇となった。
「あの試合、経過をずっとスマホで見てて。二回で8点入って、あっ決まったかなと思って。後で見たら逆転してすごいなと思った。自分たちもきょうリードされても、誰一人あきらめてはいなかった。全員、声を出していた」と北添は言う。
大原も「智弁、負けるのかなっていう思いで見ていたけれど、めちゃくちゃ次の回から踏ん張って、みんなでつないで点を取っていた。やっぱり、つなぐってことが大事かなって感じていた」

甲子園と徳島の球場。場所は違うが、野球で大切なことは変わらなかった。自分たちもやればできるとわかった。
プロ野球・阪神の藤川球児監督らを輩出した伝統校。大逆転勝利の自信を胸に、5月2日の決勝は、1993年以来となる春の四国王者の座を全員で取りに行く。
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