織田信長が愛したとされる幻の菓子がよみがえった。信長とゆかりのある京都の世界遺産・上賀茂神社に残る古文書の記述に専門家らが注目。老舗の和菓子店が協力し、「なんばん餅」と名づけて今月中旬から売り始めた。

「なんはんもち数百」。上賀茂神社に伝わる収支報告書「職中算用状」の天正10(1582)年3月分にある8文字の記述に、信長研究の第一人者、東京大史料編纂(へんさん)所の金子拓教授(日本中世史)が注目した。神社の史料編纂に携わる。
信長はキリスト教の宣教師と交流し、南蛮文化に関心があった。武田信玄の子・勝頼との戦に勝った祝いに、神社が「なんはんもち(南蛮餅)」を贈ったことが古文書から読み解けるという。

ただ、この古文書に「なんはんもち」が出てくるのは1カ所だけ。金子教授は「レアな食べもの」と話す。
高井俊光宮司も「どういう味か」と関心を持ち、江戸時代創業の京都の老舗和菓子店・亀屋良長(よしなが)に今年4月、協力を呼びかけた。
江戸時代の「南蛮料理書」のレシピなどをもとに、今の時代に合う菓子を追求。8代目当主の吉村良和さんによると、小麦粉、黒砂糖、くず粉に水を加えてこねて、1時間半ほど蒸して完成させた。
「黒糖の風味があり、蒸しパンみたいになりました」

信長は、上賀茂神社で今も続く伝統行事「賀茂競馬(くらべうま)」に自らの馬を出して観覧したと伝わる。高井宮司は「戦国の世に、こういうお菓子を神社が信長に贈ったことを感じながら味わってほしい」と話す。
なんばん餅は上賀茂神社の境内で1袋4個入り(800円)で提供している。



